メールマガジンなどを運営する場合、たくさんのメールアドレス宛てにメールを送信しなければなりません。スクリプトを用意してリストにある宛先に順番に送ることを考えた場合、注意しなければならないことがあります。それはレンタルサーバのメール送信数の制限です。

レンタルサーバでメールマガジン配信は難しい

メールマガジンを配信する場合、できるだけコストを下げたいと考え、フリーソフトのメール配信スクリプトなどを用いて、レンタルサーバで運用することを検討すると思います。その場合、配信数が数百件程度(~200件くらいまで)で、1日1通を送信するくらいであれば対応することは可能です。しかしながら、数千、数万の宛先に配信する場合はレンタルサーバのメール送信数制限により配信することができなくなってしまいます。レンタルサーバは1台のサーバを利用者で共有しているため、大量にメールを送信することによって負荷が上昇するのを防ぐことと、スパムメール配信業者に悪用されることを防ぐことを目的にメールの送信数は制限されているのです。

どのくらいの制限かというと、メジャーなレンタルサーバの送信数の制限について表にしてみました。各レンタルサーバ会社共に、1時間あたりの制限に加え、1日のトータルの送信数でさらに制限を加えているようです。また、制限数の上限を超えた場合のメールの扱いに関しては、エラーを返してくれるならまだしも、エラーを返してくれないケースもあるらしく、確実にメールを届けなければならないようなシステムを組むことを考慮した場合、レンタルサーバは不適合ということになります。

サービス名 メール送信制限
さくらインターネット 250通/15分
1000通/1時間
約12000通/1日
※上限超えの場合エラーなし
 ロリポップ 300通/1時間
3000通/1日
 エックスサーバ X10プラン:1000通/1日
X20プラン:2000通/1日
X30プラン:4000通/1日
 チカッパ 500通/1時間
3000通/1日

確実に配信するためには有料のメール配信サービスを利用する

確実に宛先にメールを送信するなら、有料のメール配信サービスを利用することをお勧めします。昨今のスパムメール業者がいろいろと悪さをしてくれたおかげで、スクリプトなどからメールを送信しても、高い確率で迷惑メールと判定されてしまいます。しかしながら、メール配信サービス会社はメールを宛先に届けるために、様々な手段を用いて確実に届けるためのノウハウを持っています。メール配信サービスも様々な種類がありますが、大きく分類すると注目すべきは2つのポイントとなります。

それは、月間総配信数と、登録アドレス数です。月間総配信数は1ヶ月の間に送ったメールの件数のことを表します。登録アドレス数はメールを送信する宛先の数です。これら2つの数が多ければ多いほど、月額料金も高いというのがメール配信サービスです。こちらもメジャーなサービスを一覧にしてみました。プランは最も安いものを書いています。詳細は各サービス会社のホームページを見てください。

サービス名 サービス内容
める配くん 月間総配信数:30000通
登録アドレス数:5000件
月額:1780円
ブレインメール 月間総配信数:無制限
登録アドレス数:3000件
月額:2000円
アクセスメール 月間総配信数:150000
登録アドレス数:無制限
月額:2300円

なんだかアフィリエイトサイトのようになってしまいました。。。

今回、メール配信について調査したのは、弊社のお客様でメール配信をしたいが、現状のサービスでは満足できるものがなく、オリジナルで作ってくれないか?という依頼があったからです。しかしながら、調べれば調べるほど分かることは、メール配信システムは個人で開発できるような代物ではないということでした。上記一覧のブレインメールはウェブAPIを提供しており、APIを外部のスクリプトから操作することでサービスをラッパーすることができるんですが、お客様のニーズを満たすことはできませんでした。

Amazon Web ServiceのSESでメールを配信する

そして辿り着いたのが、世界のAmazonが提供しているWebサービスです。Amazon Simple Email Service(Amazon SES)というサービスがあり、メールの配信を代行してくれるというものです。様々な言語からメールの送信を行うためのSDKも準備されており、利用方法は比較的簡単(利用方法は随時このブログに書いていきます。)です。

PHPでmb_send_mail関数を利用するような感じで、Amazon SESのメール送信関数を呼び出せばAmazonのメールサーバを利用してメールを送信することができます。料金は1000通あたり、0.10ドル(US)、データ送信料が別途必要で、最初の1Gbyteまでは無料、10TByteまでは1GByteあたり、0.12ドル(US)です。ざっくり計算すると、毎日10000通送ると、月3000円くらいになります。

価格も非常に安い反面、メール配信サービスのような細かな機能はありませんが、システム側から呼び出して利用するには適したサービスだと思います。今回、お客様から依頼を受けた内容が実現できるかどうか深く検討はできていませんが、Amazon SESを利用すれば様々なメール配信サービスを構築できると考えています。

今回は以上です。