会社という組織にはたくさんの人間がいます。そして社内にはたくさんの組織があり、その組織も複数のメンバーで構成されています。会社で仕事をする場合、仕事をそのものを処理する能力も重要ですが、一緒に仕事をしてくれるメンバーをやる気にさせて、そのメンバーが持っているパフォーマンスを引き出す能力も重要になってきます。

1人でできる仕事には限界がある

会社で仕事をする場合、完全に1人で完結する仕事というのは少ないと思います。どのような仕事でも誰かと何らの関わりが発生しています。自分自身はその仕事に対してモチベーションが高く、一方のメンバーはモチベーションが低い場合、こういうケースは数多くあると思います。

会社という組織はやる気満々のメンバーばかりではなく、ただお金のためだけに朝来て夕方帰るという人も数多くいるからです。

このようなメンバーと一緒に仕事をする場合、モチベーションの高い人はまずは自分自身がより努力することによって仕事を終わらせようとします。しかし、1人でできる仕事量には限界があります。その結果、ストレスは溜まりますし、不平不満を言うようになります。「あいつがもっとやってくれたら。。。」と。

上司の場合も同じことがあります。部下に頼んだ仕事の進捗が悪い場合です。上司が最初に取る行動は声掛けです。「仕事の優先度を付けて。。。」のようなことを言うでしょう。それでも進捗が悪い場合は「とにかくこれだけ終わらせてくれ。他の仕事はオレがやるから」となるでしょうか。ただでさえたくさん仕事があるのに、仕事をさらに増やしてしまいストレス増大です。

適切な仕事量を最初に見極める

例に挙げたケースはどこの会社でも日常的にあることだと思います。メンバーと部下の場合を例に挙げてみましたが、どちらも根本的には同じです。一方が相手に処理して欲しいと思っている仕事量と、相手が処理可能な仕事量が一致していないことが原因です。

つまり、相手が仕事をしていないのではなく、そもそもスタート時点での仕事の割り当てが間違っているのです。

全く初めて仕事を一緒にする相手だとさすがに最初から割り当てを適切に行うことは難しいかもしれませんが、それでも相手と仕事を始めるにあたって、打ち合わせをすれば、相手の仕事に関する知識、会話時の反応、課題に対するアイデアの提案の有無など、相手がどういうタイプの人間かの大部分は掴み取れると思います。

上司であればこのことを鑑みて仕事を割り当てる、一緒に仕事をする立場であれば、相手の力量を考えて自分が難しそうなところは引き受けるなど、相手のタイプに応じて仕事を決める必要があります。

同じ会社で働いているんだから、そんなことわざわざ。。。なんて考えると思いますが、これが仕事の先行きを決定づける大きな要素です。ここで仕事の割り当てを間違えると、先のようなストレスを生み出し、相手の関係を悪化し、最悪のケースでは仕事は失敗してしまうかもしれません。

適切な仕事量はやる気を生み出し、ストレスを生み出さない

ここまで読まれて、「最初の割り当てで一方が仕事が多くて、一方は少なければそれは結局同じことじゃ?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。

全く違います。

まず自分自身に対して、このような効果があります。

  • 最初にある程度の仕事量を覚悟しているため、相手に対して不平不満が出にくい
  • 同様の理由でストレスが溜まりにくい
  • 元々モチベーションが高いので、割り当てたからにはなんとしてもやりとげようという目的が生まれる

しかし、最大の効果は相手に対してあります。仕事をしていてやる気がなくなってしまう強い原因の1つに「仕事ができない人間だと烙印を押されたと感じた」というものがあります。相手ができないからといって仕事を奪ってしまうのは相手の自尊心を傷つけ、自分自身はダメ人間なんだと思うようになり、最悪の場合、心の病気にまで発展してしまうこともあります。

最初から仕事量を適切に割り当てていれば、仕事を奪ってしまうことはありません。それどころか相手をとてつもなくやる気にさせる素晴らしい状況を作り出すことができる可能性があるのです。

もし相手の仕事が順調に片付いた場合(最初から絶対順調に進むように計画を作っておく)、相手に対して次のような行動を取ることができます。

  1. 「仕事早いね!」と言う
    → 相手に自信が生まれてきます。次はもっと頑張ろうと思うようになります。
  2. 少し仕事を手伝って欲しい」と言う
    → 誰かに頼られることは、自分自身の存在価値を認識し、幸福感を得ることができます。
  3. 「手伝ってくれたおかげで、助かったよ」と言う
    → 誰かを助けて感謝されると人間は素晴らしい達成感を得ることができます。

相手をやる気にさせる言葉の本などが本屋に売っていますが、様々な状況においてこういう言葉を使えばいいと書いている本ばかりです。そんな言葉がかけられる状況はいつくるか分かりません。そうです、状況は来るのを待つのではなく、最大の効果を得られる状況を自ら作るのです。

リーダーの仕事は環境づくり

なんか作ってまでそういうことをするのは。。。と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これがチームをマネジメントするということです。会社には様々な人間がいます。自分のチームのメンバーが素晴らしいメンバーばかりで構成されるということのほうが稀です。

与えられたメンバーのパフォーマンスを最大限に発揮できる環境作りをすること、これがリーダーに与えられた最大の使命です。各メンバーの個性を的確に把握し、メンバーが仕事をやりやすい環境を作り上げ、メンバーのパフォーマンスを引き出すための演出を行う。

人に対するマネジメントができるリーダーが真のリーダーです。

本日は以上です。