仕事でPowerPointでプレゼンテーションの資料の作成方法について講習を行うこともあるのですが、素晴らしいプレゼンテーションの資料を作るためには、プレゼンテーションの内容、つまり相手に対して自分は何を伝えたいのか?を十分に検討することが重要だと考えています。

良いプレゼンテーション

このような記事がありました。

見る人を魅了するキラープレゼンテーションの作り方(Gigazine 2013/6/17)

見る人を魅了するキラープレゼンテーションの作り方として、1.プレゼンテーションの肝となる話をしっかり組み立て、2.観客にどうやって伝えるかをしっかりとプランする。そして、3.ステージでの振る舞いを考える。そして、4.できるだけビジュアルに頼らないということでした。

非常に納得の行く内容です。何をプレゼンするのか?どのようにプレゼンするのか?が明確になっていない状態で資料作りをしても、よく分からない資料になってしまうというのは経験からしても、まさにその通りだと思います。

私はプレゼンテーションの資料作りを行う際、最も重視しているのはシナリオです。これから作ろうとする資料を見せながらお客様の前で商品のプレゼンをして、お客様が興味を持って頂ける顔が想像できるまでシナリオを検討しています。そして、そのシナリオが間違いなくお客様の興味を引くことに成功することが確信できた後、資料作りを開始するのです。

そこまで考え込んでいるので資料を作る時間は非常に短時間です。そして、資料はとてもシンプルなものになります。資料はあくまで私のプレゼンの引き立て役ですので、必要以上に詰め込みません。時間配分としては、シナリオ作りに7割、資料作りに3割といったところでしょうか。

シナリオが決まれば、プレゼンで話す内容も同時に決まる

シナリオが完全に決まっていれば、もう資料作りはただの作業でしかありません。よくPowerPointのメモ欄にプレゼン用の喋る内容を完全に文章で書いている人がいますが、私はなぜそれが必要となる理由が分かりません。これからプレゼンする資料はご本人が作っていないのでしょうか?本人が作った資料なら、自身が話したい内容を話すためにその資料を作ったわけですから、喋る内容は自然と出てくるはずです。

資料の1枚1枚をどれだけ考え抜いて作ったのか?メモを見なければ話せないようなプレゼン資料なら、プレゼンをしないほうが良いでしょう。そのような資料でお客様にご説明しても、作った本人がよく分かっていない資料なので、お客様はさらによく分からない状態になってしまいかねません。

悪いプレゼンテーション

良いプレゼンテーションもあれば、悪いプレゼンテーションもあります。悪いプレゼンの例を挙げてみます。

  1. フォントサイズが小さく(20pt以下)、文字で埋め尽くされている
  2. 項目毎にクリックしないと表示されないアニメーション
  3. ページ毎にカラーパレットが異なる
  4. 発表中は資料のほうをずっと向いて、資料に書いた文字を読むだけ
  5. あらかじめプレゼンで話す内容がメモに書いており、それを朗読してくれる

例を挙げるとキリがないんですが、私が特にダメだと考えるプレゼンテーションの例を挙げてみました。上記のような資料を作る人は本当に多いです。

  • 1.もう見ただけでうんざりします。重要なキーワードを抜き出して箇条書きにしましょう。不要な言葉を極限まで削れば、何を伝えたかったのかが自然と見えてきます。そして、その資料は見る人に取っても何を伝えたいのかがひと目で分かる資料になっていることでしょう。
  • 2.隠しても何のメリットもありません。もったいぶらずに最初から全て表示しましょう。アニメーションはカッコ良く見えるのですが、相当上手く作らなければ話の前後関係が見えなくなったりしてしまいがちです。また作るのに時間もかかります。アニメーションで表現するのではなく、静止画で効果的に表現する方法を考えましょう。
  • 3.配色は最初から最後まで統一感を持たせましょう。ページ毎に赤で強調したり、青で強調したりすると、見る人はそのページで何が重要なのか分からなくなってしまいます。
  • 4.あなたがそこにいる価値がなくなってしまっています。話す内容は完全に覚えましょう。先に述べたようにシナリオベースで資料を作っていれば、表示されている内容を見た瞬間に話す内容は頭に思い浮かぶはずです。
  • 5.朗読会に参加しているのではないのですから止めましょう。これも4.と同じで事前に資料を十分に検討できていないことが原因です。このようなプレゼンでは見る人の気持ちを惹きつけることができません。

全く同じ内容ベースにプレゼンをしたとしても、プレゼンター次第で見る人の印象は大きく変化するのがプレゼンテーションの怖さでもあり、魅力でもあります。魅力的なプレゼンテーションができるよう日々努力していきたいものです。