以前に書いた「良いプレゼンテーションと悪いプレゼンテーション」が意外と読んで下さった方が多かったので、以前は概要を書いただけだったので、今回はより実践的な内容に掘り下げてみたいと思います。

シナリオは「起承転結」で作る

まずはプレゼンを構成する上で最も重要な話のシナリオです。シナリオ作りもプレゼンを行うターゲットによって変えていかなければならないのですが、それほど悩むことはありません。基本に忠実、伝統的な「起承転結」を念頭に置いてシナリオを作ると良いでしょう。

  1. 「起」
    これからなぜこのプレゼンをするのか?という理由、課題、問題提起を行うフェーズです。簡単に言えば、聞き手に対して「あ~、それ、確かにあるある!!大変なんだよね~」といった共感を得たり、興味を惹くことが目的です。芸人で例えるなら「つかみ」を取れるかどうかです。ここで「つかみ」を取るのに失敗するようであれば、プレゼンとしても失敗です。全く内容を知らない人などにプレゼンの内容を話してみて、続きを聞きたいと思ったかどうか聞いてみてください。興味を持ってくれたらOKです。
  2. 「承」
    「起」に成功していれば、聞き手はこの話に興味を持ってくれているはずです。ここではさらに畳み掛けていくことが目的です。「起」で挙げた課題、問題に対して、「従来ではこういう課題はこのような解決方法が考えられていましたが、これでは十分な解決方法ではありませんでした。」のように話の内容に対して聞き手に対して知識を深めてあげる作業を行います。そうすることで聞き手は理解が深まり「そうか~、確かに解決したいけど、難しいんだなぁ」と思ってくれるようになります。そして、同時に「どうやれば解決できるのだろう?」という次の興味が湧くようになってきます。つまり、次で解決方法を話してくれるという期待を抱いてもらうのがこのフェーズの目的です。
  3. 「転」
    「起」、「転」まで成功していれば、聞き手はもうワクワクしている状態です。早くこの問題を解決する方法が知りたい!という状態です。そこに待ちに待った素晴らしい解決方法を紹介するわけです。その解決方法が素晴らしい内容であれば、聞き手は「なるほど!その手があったかっ!」と気持ちがスッキリし、非常に心地よい状態になります。ここで話す内容は聞き手の予想範囲内でも、予想範囲外でも特に問題ありません。予想範囲内であれば、自身の考えが正しいことに喜びを感じますし、予想範囲外であれば納得した気持ちになることができます。ただ経験的に予想範囲外の解決方法のほうが効果はより高いと思います。
  4. 「結」
    最後の仕上げです。「転」で紹介した解決方法を使えば、こんな良いことがありますという内容の話を具体的な事例と共に説明します。ここで重要なのは抽象的な話、主観に基づく話ではなく、客観的な数値を用いた具体的な事実に基づく話をすることです。聞き手は待ちに待った解決方法を聞いてスッキリしている状態なのですが、実は本当に効果があるのかどうか半信半疑でもあります。ですから、ここでデータに基づくリアリティのある事例などをいくつか挙げて話をすれば、完全に納得!という状態になります。

この状態にまで聞き手を持っていくことができれば、その後の話が非常にスムーズに入っていけることは明白ですね。

以上が私がシナリオを作る時の考え方です。いかがでしょうか?聞き手の心の変化が想像できたでしょうか?大切なのは聞き手の興味をどのようにして組み立てていくかです。プレゼンも小説や映画と同じです。聞き手(=観客)の興味をいかに惹きつけて、満足してもらうかが最大の目的です。

具体的なシナリオ

実際に話す相手を想定した場合の簡単なシナリオの流れを書いてみたいと思います。私は大学時代は理系の学部だったので、よく学会発表などに行っていたのですが、研究発表の流れは以下のようになります。

  1. 研究の背景、なぜこの研究が必要なのか?を説明する。
  2. 従来技術の紹介と問題点を述べる。
  3. 提案する技術は従来技術とは異なり、こういう方法で問題を解決することができると述べる。
  4. 実験結果を示し、従来技術と比較して優位性を説明する。
  5. 実験結果の考察を行い、論理的に提案技術が優れていることを示す。
  6. この技術によって、これまでの課題が解決できることを結論付ける。
  7. さらに改善していく意欲を示す。

このような流れになります。1が「起」、2が「承」、3が「転」、4、5、6が「結」、7がその後の話ということになります。

これを今度はお客様に商品を紹介しに行くケースで考えてみたいと思います。

  1. このようなお悩みはありませんか?と問う。(ここで「あるある!」状態する。)
  2. その悩みでこのような問題が発生していませんか?と問う。(お客様から「この人、分かってるなぁ」と思って貰えるようにする。)
  3. 他社のソリューションを紹介し、ダメ出しをする。(他社製品を検討したこともあるはずなので、問題点をしっかり事前調査しておき、お客様が他社製品を採用しなかった理由を当てる。事前調査がとにかく必須。ここで勝負がほぼ決まると思ってます。)
  4. 満を持して自社のソリューションの説明をする。(他社のソリューションで問題だったポイントが解決されていることが必須条件。)
  5. 既に採用してくださった他社さんにおける具体的な効果をデータとともに説明する。(他社の具体的な効果は絶大です。)
  6. 価格などのプランを説明する。

この場合だと、1が「起」、2、3が「承」、4が「転」、5が「結」、6がその後の話です。

お客様に商品の説明をさせて頂く場合に最も重要なのはお客様の気持ちになって、事前にどれだけ調査ができるかです。お客様の悩みを何としても解決したい!という強い意志を持たなければなりません。

ただうちの商品はいいんですよ~って言ってくる営業さんとはこれまで何人もお会いして来ました。製品が良いことは理解できるのですが、それだけではお金を支払うという気持ちにはなれません。それは良いことだけを一方的に伝えてきて、それが自分の何の役に立つのか?ということを考えてくれてないからです。

お客様の立場になり、お客様に取って何が問題なのかを考え抜き、そのお客様の悩みを見事に当てて、そこを見事に狙い撃ちした商品をご紹介させて頂くことができれば、商談の成功率は飛躍的に高まります。どれだけお客様の気持ちに同化できるか、同化することができれば自然と素晴らしいシナリオに辿り着くことでしょう。

本日は以上です。